「副業」という言葉を聞くと、最近の新しいトレンドのように思えますが、実はその歴史は古く、日本の働き方の変化と密接に結びついています。
「昔は副業なんてタブーだった」
「最近になって急に副業が認められるようになった」
そんな声をよく聞きますが、実際のところ、副業はどのように扱われ、どう変わってきたのでしょうか。
今回は、副業の歴史を振り返りながら、「なぜ今、副業がブームになっているのか」について綴ります。
1. 昭和の時代:「副業」は「内職」であり「秘密」だった
昭和の時代、日本の企業社会は「終身雇用」と「年功序列」が当たり前でした。会社に人生を捧げることが美徳とされ、副業は「会社への裏切り」と見なされることもありました。
- 「内職」としての副業:家計を支えるため、工場の仕事の合間に家で軽作業(内職)を行う人は多くいました。これは「副業」というより「生活のための手段」でした。
- 「バレたらクビ」の恐怖:会社の就業規則で副業が禁止されていることが多く、見つかると処罰の対象になることもありました。そのため、人目を忍んで行う「秘密の仕事」でした。
2. 平成の時代:「副業」の解禁と「多様な働き方」の台頭
平成に入り、バブル崩壊や長引く不況を経て、終身雇用制度が揺らぎ始めました。
「一つの会社に依存するのは危険だ」という意識が広まり、徐々に副業に対する考え方が変わってきました。
- 「複業」という言葉の広がり:2010年代に入ると、複数の仕事を持つ「複業(パラレルキャリア)」という考え方が注目されるようになりました。
- 「モデル就業規則」の改正:2018年、厚生労働省が「モデル就業規則」を改正し、原則として副業が禁止ではなくなりました。これを機に、多くの企業が副業を解禁するようになりました。
3. 令和の時代:「副業」は「当たり前」の選択肢に
令和の現在、副業は完全に「市民権」を得ました。
- 「副業=自己実現」への変化:単にお金を稼ぐためだけでなく、「自分のスキルを活かしたい」「新しいことに挑戦したい」という目的で副業を始める人が増えています。
- 「リモートワーク」の普及:コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、場所や時間に縛られない働き方が可能になりました。これにより、本業の合間を縫って副業を行うことが容易になりました。
- 「AI・デジタルツール」の発展:ChatGPTやクラウドソーシングの普及により、副業のハードルは劇的に下がりました。
4. なぜ今、副業が「ブーム」なのか?
- 「収入の不安」:将来の年金や物価上昇に対する不安から、収入の柱を増やしたいというニーズが高まっています。
- 「キャリアの保険」:本業がなくなっても生きていけるスキルを身につけたいという防衛本能。
- 「自己肯定感」:本業以外の場所で「必要とされる」ことで、自己肯定感を高めたいという欲求。
5. 副業の「未来」と私たちの向き合い方
副業は、もはや「特別なこと」ではなく、「普通のこと」になりつつあります。
しかし、副業の歴史が示すように、「ルール」や「モラル」は常に変化しています。
- 「会社の規約」を守る:副業が解禁されたとはいえ、競合他社での仕事や、本業に支障をきたすような副業は禁止されている場合がほとんどです。必ず就業規則を確認しましょう。
- 「税金」の知識を持つ:副業の所得が増えれば、確定申告が必要になります。
- 「本業」を疎かにしない:副業はあくまで「プラスアルファ」。本業のパフォーマンスを落とさないことが大前提です。
おわりに
昭和の「秘密の内職」から、令和の「当たり前の選択肢」へ。
副業の歴史は、日本の働き方の歴史そのものです。
これから副業を始める人も、すでに始めている人も、この歴史を知ることで、「自分はなぜ副業をするのか」「どう向き合うべきか」を考えるきっかけになるかもしれません。
この書架が、皆さまの「働き方」を見つめ直す一助となれば幸いです。

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