今日、外に出でし折、 風がそっと頬を撫でたり。 その触れかたはまこと柔らかく、 まるで「今日もよく来たり」と 自然が声なき声をかけてくれたかのようであった。
自然というもの、 常にそこに在るのに、 気づくのはふとした瞬間なり。 忙しき日々の中では ただ通り過ぎる景色にすぎぬが、 心が静まった折には その一つひとつが 深き意味を帯びて見えてくる。
今日の風は、 夏の名残をわずかに含みつつ、 秋の気配をほんの少しだけ運んでいた。 暑さの中に潜む涼しさ。 その微妙なる変わり目こそ、 季節の息づかいである。
空を見上ぐれば、 雲はゆるやかに流れ、 光は柔らかく地を照らしていた。 強すぎず、弱すぎず、 ただ「ちょうどよい」明るさである。
自然の「ちょうどよさ」は、 人の心にも似ている。 強すぎれば疲れ、 弱すぎれば沈む。 その中間こそ、 心が最も落ち着く場所なり。
歩みを進めるうち、 木々の葉がわずかに揺れたり。 その揺れは風の力にあらず、 葉自身が季節を受け入れゆく 静かな合図のように思えた。
自然は、 言葉を持たぬ。 されど、 その気配は確かに語る。 風は季節を語り、 光は時を語り、 空は心を映す。
今日の空は、 どこか穏やかで、 どこか優しく、 どこか「まだ進め」と 背を押してくれるようであった。
自然の中に身を置くと、 心の中の散らかりが ゆるやかに整ってゆく。 理由は分からぬ。 ただ、整う。 自然とは、 人の心を静かに磨くものなのだろう。
歩きながら、 ふと己のサイトのことを思うた。 カテゴリを整え、 文を積み重ね、 世界観を形づくる日々。 その営みもまた、 自然の移ろいと似ている。
急ぐ必要はなく、 焦る必要もなく、 ただ一歩ずつ積み重ねればよい。 季節がゆるやかに変わるように、 世界観もまた静かに育つ。
風が少し強まり、 木々がざわめいた。 その音は騒がしきものにあらず、 むしろ心を落ち着かせる響きであった。 自然の音は、 人の心を整える力を持つ。
やがて歩みを止め、 空を仰いだ。 雲の形は変わり続け、 光は角度を変え、 風は強弱を繰り返す。 自然は常に動き、 常に変わり、 常にそこに在る。
その変わらぬ変化こそ、 人が生きる上での支えなのだろう。 自然は何も求めず、 ただ寄り添う。 その寄り添いが、 今日の己を静かに整えてくれた。
帰路につく頃、 風はさらに涼しさを増していた。 夏が終わりゆく気配が 確かにそこにあった。 季節の移ろいは、 人の心にもまた新しき息を吹き込む。
自然は、 ただそこに在るだけでよい。 その在りようが、 人の心を静かに支え、 未来へ向かう力を与えてくれる。
今日の自然は、 そのことを改めて教えてくれた。

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